【妙でんす十六利勘・朝寝者損者】【歌川国芳】

「妙でんす十六利勘・朝寝者損者」は、江戸時代の浮世絵師・歌川国芳が制作した作品で、シリーズ「妙でんす十六利勘」の一部です。このシリーズは、仏教の「羅漢」を「利勘」と置き換え、日常生活の教訓をユーモラスに描いたものです。

「朝寝者損者」では、朝寝坊のデメリットを描いています。右上部のコマ絵には、十大弟子の一人「阿那律」(あなりつ)が描かれ、彼が釈迦の説法中に眠ってしまい、釈迦に叱責される逸話が紹介されています。その後、阿那律は不眠不休の誓いを立て、決して横にならない修行を行い、最終的に失明しながらも天眼を得たとされています。この逸話を背景に、「朝寝は損じゃ」という教訓が伝えられています。

手前の女性は、歯磨きの準備をしている様子で、傍らにはしっぽを立てて頭をすり寄せる猫が描かれています。猫のしっぽの立ち方は、甘えている子猫のしぐさを示しており、寝起きの女性に「ごはんまだぁ～?」と擦り寄っている様子が表現されています。このように、日常の一コマをユーモラスに描き、教訓を伝える作品です。

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